ドラゴン宇宙船、パラシュート着水に仕様変更

アメリカの民間宇宙開発企業『スペースX』は円錐型のドラゴン宇宙船について、これまで逆噴射し陸上着陸する方式をとると発表していたものの、安全性の問題からパラシュートを使用した海上着陸に変更しました。

海外の宇宙関連サイトによると今月19日、ISS R&D 2017のカンファレンスの場でスペースXのCEOイーロン・マスク氏は『ドラゴンV2』と呼ばれる主に地球周辺軌道で運用を目指す有人宇宙船についてその帰還方法についてパラシュートを使用した海上着水に変更したという趣旨の発言を行いました。
イーロン・マスク氏によると「有人宇宙船で垂直着陸は安全性の確保から開発が困難であり採用を断念した」と説明しています。

SpaceX drops plans for powered Dragon landings – SpaceNews.com

こちらの映像はこれまで想定していたドラゴンV2の陸上への垂直着陸です。このように機体4方から逆推進をかけパラシュートを使用せず陸上に着陸するとしていました。

ただ、この逆推進エンジンは打ち上げの際にロケット本体に異常が生じた場合に「打ち上げ脱出システム(Launch Escape System: LES)」としても動作する仕様となっています。また、仮に帰還時に逆推進エンジンが作動しないなど不具合が出た場合としてドラゴン宇宙船本体にはパラシュートが標準搭載されており安全着陸(着水)が行えるようになっていました。

▼ドラゴンV2 宇宙船に搭載されている逆推進エンジン。1ペアの軸推力は12万ポンドとされている。

現在、国際宇宙ステーションに物資を送り届けているドラゴン補給船では国際宇宙ステーションから回収した試料についてパラシュートを使用した海上着水にて回収を行なっています。そのため打ち上げから宇宙空間の飛行、国際宇宙ステーションへのドッキング、大気圏突入、パラシュート展開、回収という有人宇宙船を帰還させる運用は過去に何度も実施しており改めて陸上着陸というシステムを導入するよりもより安全で実現性の高い方式をあえて採用したという印象も受けます。

ソユーズ宇宙船や同じよく似た形をしているアポロ宇宙船やオリオン宇宙船には完全使い捨ての打ち上げ脱出システムを搭載しなければなりません。一方で、ドラゴンV2のように再利用可能な打ち上げ脱出システムを内蔵することは有人宇宙船の1回あたりの打ち上げコストを下げることにつながっておりこれまでの技術開発は無駄になったということではありません。

▼オリオン宇宙船に搭載されるLESの動作試験




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